奈良産業大学 全学部 教養科目
地理学:地域研究の基礎
2001年度

講義概要  ある地域の研究をしようとする時,その地域の自然環境と歴史的変化を踏まえ,さまざまな分野の人間活動を把握することによって,その地域の実像にさらに近づくことができる。そういった地域の実像を理解しようとする時,広い分野を対象とする地理学はその手がかりとなり,基礎的なツールともなる。地理学の授業では,具体的な事例を通して地理学のさまざまな分野について解説する。
 授業では,まずはじめに地理学の枠組みについて述べた上で,地域を把握するための基礎資料となる地図についてふれる。そして,人間活動が行われる場としての自然環境をあつかう自然地理の分野から,地形,気候などについて取り上げる。また,人間活動をあつかう人文地理の分野からは,農業,工業,商業,都市と村落,交通について,事例を通して迫っていく。また,地域の過去の姿や歴史的変遷についてあつかう歴史地理の分野からは,条里制,古代日本の都市について取り上げる。地域研究では,アメリカ合衆国ハワイ州と兵庫県北部のスキー観光地域を事例として,地理的な見方でそれぞれの地域の実像の把握に迫る。なお,授業の中では,地域研究に必要な情報・資料の入手方法やその活用などについてもふれたい。
授業計画  授業の計画はおおよそ次の通りである。
1.地理学とは
2.地図(地形図,GIS)
3.地形(サンゴ礁,近畿地方の地形)
4.気候(地球温暖化,ヒートアイランド現象)
5.環境保全(海岸の保全)
6.農業・漁業の地理(日本の食料生産と食料輸入)
7.工業の地理(阪神工業地帯,関西の伝統工業)
8.商業の地理(「ロードサイド」型店舗)
9.交通の地理(関西の鉄道の発達)
10.都市と村落の地理(京阪神大都市圏の形成)
11.条里制(奈良盆地の条里制遺構)
12.古代日本の計画都市(藤原京・平城京・平安京の都市プラン)
13.ハワイの地理
14.兵庫県北部のスキー観光地域
履修上の
留意事項
教科書,随時配布するプリント,板書を用いて授業を行う。
教科書 橋本征治編『人文地理の広場』大明堂,2001年
参考書 適宜紹介する。
試験 前期・後期のそれぞれの試験(筆記)と出席点で総合評価する。

※試験以外は講義要項提出原稿より転載

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