意思決定過程の追跡技法
- プロトコル法
- 情報モニタリング法
意思決定者が選択に至るまでにどのような順序でどの外部情報を取得したのかを明らかにする方法である.一般に被験者は,決定課題を開始する段階では,各
選択肢に関する情報は与えられていない.そのため,下の図に示すような情報呈示装置から各選択肢に関する情報を1つずつ獲得し,これらの情報をもとに選択
肢の選択を行う.この情報呈示装置では,各選択肢の情報は,選択肢を列,その選択肢の特徴(属性)を行として.行列状に配置されている.取得したデータの
解析方法など詳しくは,“The adaptive decision maker(Payne, Bettman &
Johnson,
1993)”や“意思決定の心理(竹村和久,1996)”,“消費者行動分析のニュー・フロンティア
(中西正雄(編),1984)”といった書籍や以下にあげる論文を参照して欲しい.

- 情報呈示&情報記録の方法
- 情報呈示ボード

- Jacoby, J., Chestnut, R. W., Weigl, R. C., & Fisher,
W. (1976). Pre-purchase information acquisition: Description
of a process methodology, research paradigm and pilot investigation.
In B.B. Anderson(Ed.) Advances in consumer research. (Vol.3
pp. 321-327). Chicago:IU: Association for Consumer Research.
- Payne, J. W. (1976). Task complexity and contingent processing
in decision making: An imfomation search and protocol analysis.
Organizational Behavior and Human Performance, 16,
366-387.
- 杉本徹雄 (1982). 消費者情報処理に関する実験的研究 『広告科学』,8,1-14.
(上のボードを作成した方です.)
- 杉本徹雄 (1983). ブランド選択環境が購買意思決定過程に及ぼす効果 『広告科学』,9,127-138.
- コンピュータ・ソフトウェアの利用
コンピュータで選択肢情報の表示を行なうと共に,被験者が探索した情報の記録も行なう.先に示した図のように,各選択肢と各属性の交点にあたる領域をマウ
スなどでクリックすると,その背後に隠れている選択肢情報が参照できるようになっているものが多い.このためのソフトウェアとしては,以下にあげる
MouseLabが有名である.MouseLabは当初はEric J. Johnsonが開発に携わっていたが、現在はMartijn C.
Willemsenと共同してWeb上での実験も可能なように拡張されている。秋山は,北星学園大学の大坊先生が作成されたプログラム(PC-98用
Turbo
Pascalで作成)のソースファイルを改変しながら実験を行っていたが、現在はSuperCardをもちいてプログラムの作成を行っている.
- 例:Mouselab
- Payne, J. W., Bettman, J. R., & Johnson, E. J. (1993).
The adaptive decision maker. New York: Cambridge University
Press
- 視線分析法
アイカメラを用いて,意思決定過程における,被験者の眼球運動を記録・解析し,注視点の推移を検討することで,選択肢情報を獲得する推移を検討する.
- Russo, J. E., & Rosen, L. D. (1975). An eye fixation
analysis of multialternative choice. Memory & Cognition,
, 3, 267-276.
- Lohse, G. H., & Johnson, E. J. (1996). A comparison of
two process tracing methods for choice tasks. Organizational
Behavior and Human Decision Processes, 68, 28-43.
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