
能瀬: | 私は学生時代、中学と高校の英語の教員免許を取っていましたが、卒業後は企業に就職し、9ヶ月間ほど働いていました。しかし、働いているうちにやっぱり教員になりたいと感じ、大学院で英語を学び直すために人間文化学研究科への進学を決めました。今は通信教育で小学校の免許も取るべく勉強しています。 |
寺坂: | 私の場合は大学のゼミでアートマネジメントについて勉強していて、その内容を発展させたいと思い進学しました。東京の劇団は基本的に、小劇場から中劇場に、そして大劇場にステップアップしていく環境があります。しかし、関西にはそれがありません。また、芝居の多くは東京で作られ、関西に輸入されて演じられる傾向があります。どうしたらもっと関西の演劇を活性化できるのか、それを学びたいと考えています。 |
−−厳しいから身につく。
寺坂: | 私の場合は芸術の授業が中心で、能瀬さんは言語の授業を中心に受けているけど、共通の授業もけっこうあるよね。例えば、カメラの撮影方法を学ぶ授業。ただ撮影するだけじゃなくて、カメラの構造や撮影に必要な機材の使い方、それに加工するコンピュータソフトの使い方も教えてくれる。今まで写真を撮るときにどういうアングルでとるかとか意識していなかったけど、おもしろい写真を撮るためにこだわるようになりました。普通の大学ではこんな授業、受けられないよね。 |
能瀬: | それに受講生が少人数だから先生に質問しやすいし、一人ひとりの理解度を見て進行してくれるからすごくわかりやすい。言語の分野だったら、論理的な文章を書くためのワークショップも一緒だよね。 |
寺坂: | あの授業は本当に厳しい!ただ文章を書いたらいいというわけではなく、論理が通るようにわかりやすく800字程度にまとめなくてはいけない。それに、毎週提出することが必要。テーマを自分たちで新聞の社説などから自由に選べるけど、私の場合は代理母出産についてとか、能瀬さんだと少年法の対象年齢の引き下げについてとか、ついつい重いテーマを選んでしまうことが多くて調べるのも大変。でも普段あまり考えていないことについて書くため、新しい知識や考え方を手に入れる良いきっかけになっています。 |
能瀬: | それに、この授業は書いた文章をみんなで批評しあうから、自分の文章の悪いクセが見えてくるよね。私の場合だと、アレとか、コレとか、指示語が多くどこを指しているのかがわかりにくい傾向がある。 |
寺坂: | 私は話の流れが唐突に変わることがあるとよく注意されます。でも意見はいつも厳しいけど、たまに誉めてもらえると、すごくやる気が出ますね(笑) |
−−修士論文のテーマはもう決めました?
能瀬: | 私はまだ具体的に決まってなくて…。とにかく今は興味のある言語学と英語の勉強に力を入れています。でも、英語教育にも興味があるので、学部のときに学んでいた認知言語学を指導方法の視点から見てみることにも取り組んでいきたいです。それに教員をめざしている私にとって、英語の文法や動詞の多義性など認知言語学を学ぶのは将来的に役立つ気がします。 |
寺坂: | 私は「東宝」について書こうと考えています。「東宝」は「東京宝塚」が語源になっていて、帝国劇場など東京に多くの劇場を所有しています。また日本に外国のミュージカルを持ち込んだことで、日本の演劇界に大きな影響を与えました。具体的にどんな影響を与えてきたのかを、日本の戦後史と共に調べていくつもりです。 |
−−学問に対する取り組み方が問われる。
寺坂: | 地域文化論専攻の魅力はどんなところにあると思う? |
能瀬: | やっぱり言語、芸術、それに歴史や文学など文化を幅広く学べること。自分の専攻はもちろん、他にもいろいろ専攻外の分野を学ぶことができるのが、地域文化論専攻の特徴であり魅力だと思います。多くの学問分野に目を向けることができるので視野を広げられるし、分野を横断した学際的な研究にも取り組めます。 |
寺坂: | 私もそう思います。それに生活面でいうと、人間文化学研究科だけでなく他の専攻もそうですけど、院生研究室を使えるようになったこともいいですね。勉強できる空間があるので、朝から晩まで大学にいます。勉強ばかりしているわけでもないですけど(笑)でも、同じ研究分野の院生たちといつも同じ部屋にいるので、研究に対するモチベーションも自然と上がります。 |
能瀬: | 研究室にはソファもあって、リラックスできる時間もあります。また、院生研究室は部屋によって先輩たちも多くいて、意見交換やアドバイスをもらうこともできます。研究をする上で大いに役立っていますよ。 |
−−人間文化学研究科に進学して、自分なりに心がけていることって何かありますか?
能瀬: | 私の場合、一度就職した経験があるので、勉強できる環境と時間があることがとても幸せだと感じています。だから、大学院では「教えてもらう」ではなく、自分で目的意識をしっかり持って取り組むようにしています。また、人間文化学研究科は自分の専攻分野だけでなく、いろんな授業を取ることができるので、人生を豊かにしてくれている気がします。 |
寺坂: | 私も能瀬さんと似ていますが、先生がいろいろと言ってくれるわけではないから、しっかり院生としての自覚を持って学問に取り組でいくことを心がけています。人間文化学研究科は興味と意欲さえあれば、どんどん知識を吸収できる場所だから、自分自身の学問に対する取り組み方が問われるところだと思います。 |