大学院 人間文化学研究科

社会関係論講座

社会関係論方法論I

教授 春日 雅司

教育目標

授業では、社会学の基本知識を用いて現代社会を読み解き、できれば将来への展望を考えることが目的です。
西暦で言うと今は21世紀です。21世紀となった世界は、ますます複雑多様な様相を呈しています。さまざまな学問がより深化することで、以前は読み解くことのできなかった事項が明らかにされるようになりました。しかし、事態は以前より一層複雑になり、従来の方法では理解し難くなっていることも事実です。このような複雑な世界に生きるわれわれは、好むと好まざるとにかかわらず、われわれ自身が他者とさまざまな関係を取り結ぶことで「社会」を形づくっているわけですが、この世界や社会をどう読み解いていったらいいのか、そして今後世界や社会にどのように向き合っていくのか、そういったことについてテキストを使いながら社会学的に考えたいと思います。読み解く所までいけるかどうかは分かりませんが、いかなる事情なのか、何故なのかという程度には理解できるようになりたいものです。

授業では、最初にテキストの概要や成り立ちを説明し、第2回目以降は受講生のみなさんに担当部分を割り当て、レジュメを作成し報告してもらいます。この報告にもとづいて議論を深めていき、現代社会について考えます。最終回は教員がまとめ、みなさんと総括をします。
授業内容

1.  越境する知(全員)
2~3.鏡の中の現代社会(個別報告)
4~5.魔のない世界(個別報告)
6~7.夢の時代と虚構の時代(個別報告)
8~9.愛の変容/自我の変容(個別報告)
10~11.二千年の黙示録(個別報告)
12~13.人間と社会の未来(個別報告)

14~15.交響圏とルール圏(全員)

社会関係論方法論II

教授 神原 文子

教育目標

本講義では、「社会学的アプローチと生活分析」を主題とし、具体的な文献に基づきながら、社会学的方法の理解を図るとともに、生活分析を試みる。
授業内容

前半は、神原 文子著『子づれシングル』をテキストにして、各章を講読しながら、それぞれの章で用いられている社会学的アプローチについて理解をはかりたい。後半は、「生活」をテーマに、社会学的な方法を用いて問題意識の組み立てを図ることを課題とする。
1回目 ガイダンス-自己紹介と本講義の進め方についてガイダンスを行う
2回目 「第1章 女性にとっての結婚の意味とは」
3回目 「第2章 現代における夫婦関係の特徴-生成と解体」
4回目 「第3章 家族と暴力」
5回目 「第4章 夫のもとから家出した妻たち」
6回目 「第5章 ひとり親家族になるということ」
7回目 「第6章 ドメスティック・バイオレンスから離婚した母と子の今」
8回目 「第7章 母子家族の現状と社会的排除」
9回目 「第8章 ひとり親家族の自立支援と女性の雇用問題」
10回目 「第9章 "要支援"母子家族の自立条件」
11回目 「第10章 ひとり親家族の子どもたち」
12回目 「生活とはなにか」をテーマに、関連文献の見直しと既存研究の検討を行う
13回目 「生活」をキーワードとし、各自が、関心をもった現実を粗く素描する
14回目 「生活」について、何を明らかにしたいのか、問題意識を確定する

15回目 それぞれの院生が選んだテーマについて、概念分析を行う

社会関係論特殊講義I

教授 春日 雅司

教育目標

1970年代以降、コンピュータをはじめとする情報技術の急速な発展はわれわれの社会生活を根底的から変えてきました。よく知られているように、近代社会は「産業革命」によってそれまでの時代から区別されますが、それと同じように、近代社会から70年以降の時代を区別する出来事を「情報革命」として、この時代を「脱産業社会」あるいは「ポストモダン」とよび、それまでの時代とは異なる独自のものとして位置づけようとする努力がなされてきています。
授業内容 授業では、このような「社会」の捉え方に関わる基本事項を理解した上で、情報伝達手段の歴史的変化と社会生活の変化とがどう関連しているのか、情報化の進展がわれわれの社会生活にどのような影響を及ぼしているのか、情報化の浸透がわれわれの生活にもたらすメリットとデメリットはなにか、情報化が社会生活に対して今後どのような変化をもたらすのか、などについてテキストをもとに考えていきます。

社会関係論特殊講義II

教授 春日 雅司

教育目標

ここではイギリスの社会学者、アンソニー・ギディンスが学部学生向けに書いた『社会学』というテキストを使いながら、現代社会学の基礎を学びます。この著書は初版が出た時から大変大部なもので、内容的には平易に書かれているのですが、その分厚さゆえに手にすることがためらわれるものでした。授業ではそのごく一部しか読めませんが、邦訳でいいからがまんしてじっくり読み終えると、みなさんにも社会学のおもしろさが理解していただけるのではないかと思いますので、ぜひ図書館で借りるなりして読んでみてください。この授業で英文を取り上げる目的ですが、その一つのねらいは、社会学がどういう問題をどういう方法で現代社会の諸問題解決のために取り組んでいるのかを理解すること、もう一つのねらいは受講生の論理力・思考力を高めることです。みなさんは、いずれ日本語で論文を書くわけですが、外国語を読むことで、分かっていると思っている日本語が実は分かっていなかったということを知るようになります。よりよい日本語を使うことは重要ですので、この授業はそのための第一歩だと思ってください。一字一句、そして基本タームをきちんと理解すると同時に全体として何が書いてあるのかを理解するようにつとめてください。
授業は輪読形式で進めます。出席者の誰がどのように分担していくかは、受講生と相談の上決めます。


なお、1989年に出た原著は改版の度に大きな変更を加えられています。日本語訳もあり、原著の改版の度に改訳されていますが、第5版については未だ邦訳されていません。この授業では原著の第1章を読みます。第4版と同一の部分もありますが、手直しされている部分もあります。ここでは、改版の経緯について深入りしませんが、授業計画に示した項目は第4版の目次にもとづいたものであり、第5版のものとは違うことをお断りしておきます。
授業内容

1.Studying sociology
2.Awareness of cultural differences
3.Assessing of the effects of policies
4.Self-enlightenment
5.Early theorist
6.Auguste Comte
7.mile Durkheim
8.Karl Marx
9.Max Weber
10.Functionalism
11.Conflict perspectives
12.Symbolic interactionism

13.Summary points

社会関係論演習I

教授 神原 文子

教育目標

現代社会における個々の生活者にとっての家族の意味を問うことをとおして、個人と家族と社会との関わりを理解するとともに、そこに立ち現れる種々の社会事象や社会問題について検討する。
授業内容

テキストにもとづいて、以下のようなテーマで演習をおこなう。
1回目 ガイダンスと自己紹介
2~14回目まで、以下のテーマについて、毎週、テキストを講読しながら、意見交換する。
(1)生活者中心に家族を捉えることの意味と家族ライフスタイルの考え方について。
(2)生活者の視点から現代の結婚と夫婦関係について
(3)現代の教育と家族との関連について
(4)家族をとりまく差別や人権侵害について
(5)これからの自分の生き方と家族のあり方について

15回目 まとめをおこなう

社会関係論演習II

教授 春日 雅司

教育目標

最終的には地域社会における人々の社会関係を読み解いていきますが、手順として、まず「家」について学びます。
授業内容

毎回の授業はおおむねテキストにもとづいて地域社会の根底にある「家とむら」の本質と機能について勉強していきます。授業と並行して具体的な地域調査をして、その理解を深めていきます。
1.  授業について
2~4.家の理解
5~7.家の構成
8~10.先祖
11~13.家連合

14~15.同族と親類

社会関係論演習III

教授 二杉 茂

教育目標

スポーツと文武両道
授業内容 スポーツ隆盛化の中、我が国伝統の文武両道の思想や形態が崩れようとしている社会現象に対して、米国 NCAA のモデルを参考に比較検討を行う。

社会関係論演習IV

教授 二杉 茂

教育目標

アメリカにおけるスポーツ文化政策としてのメジャーリーグのビジネス戦略について学習する。
授業内容 アメリカのメジャーリーグの経営戦略や哲学を学習し、球団オーナーやゼネラルマネージャー(GM、総支配人)が、いかにして優れた現場の監督・コーチを選任し、勝利に結びつけ、フランチャイズ球団の地位を確保しているのかについて考察し、我が国のスポーツ文化との比較検討を行う。