大学院 人間文化学研究科

人間形成論講座

人間形成論方法論I

教授 植村 卍

教育目標

教育と宗教のかかわり
授業内容

教育も人間にとってひとつの規範である。そうした規範は国家が制定する憲法・法律がそのひとつである。つぎに社会規範として道徳・倫理がある。それは人間が生きる心の規範である。つぎにそうした規範を根本的に規定しているのは宗教である。それはときに潜勢的で目にみえないが、それぞれの国家の文化の根底に潜んでいる。そうした宗教をここではその形態として、たとえばキリスト教・仏教・イスラム教などを研究するものではない。むしろそうした宗教の根底にある「宗教心」を研究とする。それは「聖なるもの」の研究になる。それはどの民族にも潜んである普遍的な人間の心の性向といえます。  
第一回  研究の全貌説明。
第二回  Rudolf Otto の「聖なるもの」:オットー著『聖なるもの』(岩波書店)
第三回  Hierophanie, Theophanie について
第四回  カオスとコスモスについて
第五回  聖なる時間と神話
第六回  祭の時と祭の構造
第七回  自然の神聖と宇宙的時間
第八回  天の神聖と天上の神々
第九回  遥かなる神
第十回  生の宗教的体得
第十一回 水の象徴
第十二回 女性と産出力
第十三回 火の聖なるもの
第十四回 同上     

第十五回 総括

人間形成論方法論II

教授 水谷 勇

教育目標

我が国およびアメリカにおける教育学研究の最前線について理解し、教育学研究・人間形成研究についての専門用語・概念の緻密化・精錬を図るとともに、研究方法論に一定程度熟達し、教育学研究と教育(社会)の現実・実践との関係について理解を深める。
授業内容

価値多元化の現実をふまえつつ、確かな教育目的・理想を前提とする教育論の意義と問題点の再検討を行い、新しく生起してきた、違うもののかかわりあいを通して不断に価値を発見する過程としての「教育」の意義と問題点を明らかにし、教育学諸学会が近年どういうテーマを取り上げ、どういう方法論で研究を進めてきたのか緻密に検討することを通して、教育学並びに人間形成研究の方法論の習得、及びその研究方法の向上、切磋琢磨を図る。
 また、この過程において、いじめ、不登校、そして将来の社会的役割をみつけられないアイデンティティ拡散といった、今日深刻な様相を呈している子ども・青年の生活分析・指導方法の考察を行う。不登校児の療育施設、少年院等の見学及び指導者からの講話を通して、発達保障という視点からこれらの問題を捉え直し、解決にむけた実践上の課題を考究する活動も取り入れる。
 さらに、教育現実への臨床的アプローチ(臨床教育学)という観点から、「教科(学習)指導」「教育相談」「生徒指導・生活指導」などといった概念をあらためて考察することを含め、教育学諸概念を精査し、緻密なものへと練り上げていくことで、受講生諸君の研究力量の向上を図りたい。
第1回 本講義の基本的性格、用語の解説等
第2回~第4回 広田照幸『教育(思考のフロンティア)』を読み解く
第5回~第7回 教育学研究の動向1 日本教育学会の課題研究・投稿論文から
第8回~第9回 教育学研究の動向2 アメリカ教育学会(AERA)での研究動向
第10回 教育学研究の動向3 日本生活指導学会の課題研究・投稿論文から
第11回 教育学研究の動向4 日本教育方法学会の課題研究・投稿論文から
第12回 教育学研究の動向5 教育目標評価学会の課題研究・投稿論文から
第13回 教育学研究の動向6 日本カリキュラム学会の課題研究・投稿論文から
第14回 教育学研究の動向7 国際カリキュラム学会(“Curriculum StudiEs”掲載論文から)

第15回 教育学研究の楽しみと苦しみ(本講義まとめ)

人間形成論特殊講義I

教授 植村 卍

教育目標

身体論
授業内容

人間の形成を考えるとき、そこに身体についての思索が必要である。現代の教育を考えるとき、それを学問的に的確に把握しておかなければ、児童・生徒の心を把握できない。ここで研究する身体は、自然科学的な客観的物理的な体ではなく、心と体とが有機的に結合した身体です。こうした身体論は現象学の祖フッサールの哲学において究明された。そして彼の思想に影響されて日本での本格的身体論を展開したのは市川浩である。ここでは、フッサールのそれと、市川の身体論を研究課題とする。
第一回  身体論の全貌とこの講義の計画
第二回  西洋における身体論、デカルトにおける身体論
第三回  拙論「現象学における身体論」を中心として①
第四回  同           上  (2)
第五回  同           上  (3)
第六回  同           上  (4)
第七回  市川浩『精神としての身体』講読①
第八回  同           上  (2)
第九回  同           上  (3)
第十回  同           上  (4)
第十一回 同           上  (5)
第十二回 同           上  (6)
第十三回 同           上  (7)
第十四回 同           上  (8)

第十五回 総括

人間形成論特殊講義II

教授 今西 幸蔵

教育目標

学習社会論
授業内容

人間形成の過程について、生涯発達論の視点から理解することが求められており、そこに学習社会という考え方が存在する。学習社会とは、あらゆる人々が時間的、空間的制約を受けることなく知識を獲得するために学習する社会を指す。こうして獲得された知識は、やがて新しい知識を創造し、普及され、活用されることになり、いわゆる知識基盤社会が成立し、知識経営が重視される社会となる。本講義では、こうした学習社会の本質を分析することによって、社会の発展と人間形成の在り方について考える。
第1回 オリエンテーション
第2回 生涯発達と人間形成(1)
第3回 生涯発達と人間形成(2)
第4回 生涯発達と人間形成(3)
第5回 Havighurst,R.J. and Devwlopmental Task
第6回 Lengrand,P. and Lifelong Integrated Education
第7回 Hutchins,E and Learning Society
第8回 Faure Report
第9回 Delors Report
第10回 OECD and Key-competencies
第11回 OECD and Key-competencies
第12回 OECD and Key-competencies
第13回 OECD and Key-competencies
第14回 OECD and Key-competencies

第15回 まとめ

人間形成論演習I

教授 前林 清和

教育目標

人間形成論に関する研究課題を明らかにしつつ、研究方法などの基本を身につけることを目標とする。具体的には、各自が設定した研究課題の独創性、独自性、妥当性などを明確にし、先行研究との関係から各自の研究の学術的な位置づけをする。そのことで、これからの研究の道筋を明らかにしていきたい。
授業内容

1回目 ガイダンス
2回目 研究とは 考え方と心得
3回目 個人発表 現段階での研究課題について
4回目 個人発表 現段階での研究課題について
5回目 研究の基礎 基礎知識の修得の方法
6回目 研究のセンスI 独自性と独創性
7回目 研究のセンスII 先行研究の読み方
8回目 研究の進め方I テーマ設定 
9回目 研究の進め方II 方法論
10回目 研究の進め方III プロットの立て方  
11回目 研究の進め方IV 文章の書き方
12回目 研究の進め方V エビデンスについて
13回目 研究発表 各自の研究テーマに沿った発表
14回目 研究発表 各自の研究テーマに沿った発表

15回目 まとめ

人間形成論演習II

教授 水谷 勇

教育目標

修士論文作成を念頭に置きつつ、アカデミックな世界に通用し、かつ教育現実・実践に寄与しうるレベルの高い教育学研究をめざして、その技術と技法の基本を習得する。
授業内容

現実に実りあり、かつアカデミックに通用する研究を進め、かつそれを論文にまとめ上げていくため、「研究の取っかかり」を今一度見直し、「データや用語の定義」を厳密かつ学問的なものに高め、具体的な「学術論文の記述」に習熟するために、実習を交えた文献講読による学習を進め、上記教育目標の達成を図る。これらの学習成果をもとに、最終的には修論予稿ともいうべきレポートを作成・提出する。
第1回 オリエンテーション(教育研究について)
第2回 教育研究法 新・旧
第3回 修論予定発表とそれへのコメント その1
第4回 実証的教育研究の技法(その1)
第5回 実証的教育研究の技法(その2)
第6回 実証的教育研究の技法(その3)
第7回 教育研究のメソドロジーII部 1・2章
第8回 教育研究のメソドロジーII部 3・4章
第9回 教育研究のメソドロジーII部 5・6章
第10回 教育研究のメソドロジーII部 7・8章
第11回 『教育学研究』投稿論文から学ぶ
第12回 『教育方法学研究』『カリキュラム研究』投稿論文から学ぶ
第13回 『生活指導研究』『目標評価学会年報』投稿論文から学ぶ
第14回 修論予定発表とそれへのコメント その2

第15回 まとめ

人間形成論演習III

教授 水谷 勇

教育目標

修士論文作成を念頭に置きつつ、アカデミックな世界に通用し、かつ教育現実・実践に寄与しうるレベルの高い教育学研究をめざして、1回生の時に学んだ成果を生かしつつ、不十分点については補いながら、名実ともに学術論文としての修士論文作成に向けて大きな前進を勝ち取る。すでに習得した研究及び論文作成の技術と技法を生かしながら、より確実なものへと高めていく。
授業内容

現実に実りあり、かつアカデミックに通用する研究を進め、かつそれを論文にまとめ上げていくため、「データや用語の定義」を厳密かつ学問的なものに高め、具体的な「学術論文の記述」に習熟するために、1年時に作成した修論予稿の添削指導とその後の研究の発展を反映した受講生からの報告への研究指導並びに、受講生同士の交流による研究の発展を図る形でゼミを進めていくことにより、上記教育目標の達成を図る。
第1回 オリエンテーション
第2回 1年次の研究報告・交流・指導
第3回 1年次の研究報告のコメント
第4回 研究進捗状況報告Iとそれへのコメント(その1)
第5回 研究進捗状況報告Iとそれへのコメント(その2)
第6回 実証的教育研究の技法(上級編)
第7回 『教育学研究』投稿論文から学ぶ
第8回 『教育方法学研究』投稿論文から学ぶ
第9回 『カリキュラム研究』投稿論文から学ぶ
第10回 『大学評価学会年報』投稿論文から学ぶ
第11回 最新の教育学系諸学会の研究動向と掲載論文の特質
第12回 研究進捗状況報告IIとそれへのコメント(その1)
第13回 研究進捗状況報告IIとそれへのコメント(その2)
第14回 これまでの学習の総復習と弱点補強

第15回 全体まとめ

人間形成論演習IV

教授 前林 清和

教育目標

人間形成論に関する修士論文完成を目標とする。これまで進めてきた研究を如何に論文として完成するかということを学術的に検証しつつ、論文としての質の向上をめざす。
授業内容

1回目 ガイダンス
2回目 個人発表 研究の第一回中間発表
3回目 個人発表 研究の第一回中間発表
4回目 個人発表 研究の第一回中間発表
5回目 個別指導 プロットの検討
6回目 個別指導 本論における考察の検討
7回目 個別指導 序論、結論の検討
8回目 個人発表 研究の第二回中間発表
9回目 個人発表 研究の第二回中間発表
10回目 個人発表 研究の第二回中間発表
11回目 研究論文の精査 プロットの再検討
12回目 研究論文の精査 本論における考察の再検討
13回目 研究論文の精査 序論、結論の再検討
14回目 研究論文の完成 論文全体の体裁などのチェック

15回目 まとめ 反省